AGA(男性型脱毛症)は、多くの男性が悩む進行性の脱毛症です。効果的な治療法として投薬治療が一般的ですが、「副作用が心配」という声も多く聞かれます。AGA治療薬には確かに副作用の可能性はありますが、その種類や発生確率は薬剤によって異なり、多くは適切に対処することで管理可能です。この情報は、あなたがAGA治療を検討する上で、副作用に対する正しい知識を持ち、安心して治療を受ける一助となることを目指します。
AGA治療薬ごとの主な副作用
AGA治療に使われる主な薬剤は、大きく分けて「抜け毛の進行を抑える薬」と「発毛を促進する薬」の2種類があります。それぞれ異なる作用機序を持つため、発生しやすい副作用も異なります。ここでは、代表的なAGA治療薬であるフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルについて、それぞれの主な副作用を詳しく見ていきましょう。
フィナステリドの副作用
フィナステリドは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、AGAの原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)に変換されるのを阻害する作用を持ちます。これにより、DHTによる毛周期の乱れを正常に戻し、抜け毛の進行を抑制します。
フィナステリドの主な副作用として報告されているのは、男性機能に関するものです。具体的には以下の症状が挙げられます。
- 性欲減退: 性的な欲求が低下する。
- 勃起機能不全(ED): 十分な勃起が得られない、または維持できない。
- 射精障害: 射精量の減少や射精時の不快感など。
これらの性機能に関する副作用は、フィナステリドの作用機序(男性ホルモンへの作用)と関連があると考えられています。しかし、発生頻度は高くなく、臨床試験の結果ではごく一部の被験者に認められる程度でした。
その他、まれな副作用として以下のような報告もあります。
- 肝機能障害: 肝臓の数値が悪化する可能性がある。
- 女性化乳房: 乳房が膨らむ、乳頭が敏感になるなど。
- 抑うつ症状: 気分が落ち込む、意欲がなくなるなど。
- 精液の質の低下: 精子の数や運動率が低下する可能性。
これらの副作用は非常にまれであり、多くの場合は治療を中止することで改善するとされています。ただし、肝機能障害や抑うつ症状は放置すると重篤化する可能性もあるため、異常を感じたら速やかに医師に相談することが重要です。
デュタステリドの副作用
デュタステリドもフィナステリドと同様に、テストステロンからDHTへの変換を阻害することでAGAの進行を抑制します。しかし、デュタステリドはフィナステリドよりも広い範囲でDHTの生成に関わる酵素(5α-還元酵素)の働きを阻害するため、より強力な効果が期待できる反面、副作用の傾向もフィナステリドと似通っています。
デュタステリドで報告されている主な副作用も、フィナステリドと同様に男性機能に関するものです。
- 性欲減退
- 勃起機能不全(ED)
- 射精障害
デュタステリドはフィナステリドよりもDHTの阻害作用が強いため、これらの性機能に関する副作用の発生頻度がフィナステリドよりやや高いという報告もありますが、依然としてその頻度は低いです。
その他のまれな副作用についてもフィナステリドと共通しており、以下の症状が報告されています。
- 肝機能障害
- 女性化乳房
- 抑うつ症状
- 精液の質の低下
デュタステリドはフィナステリドと比較して体内からの消失が遅い(半減期が長い)という特性があります。そのため、副作用が現れた場合、消失するまでに時間がかかる可能性がある点を理解しておく必要があります。
また、女性がデュタステリドに触れること、特に妊娠中の女性が触れたり服用したりすることは、胎児の生殖器の発育に影響を与える可能性があるため、厳重に避ける必要があります。これはフィナステリドも同様ですが、デュタステリドの方がより注意が必要です。
ミノキシジル内服薬・外用薬の副作用
ミノキシジルは、元々は高血圧治療薬として開発された血管拡張作用を持つ成分です。AGA治療においては、頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化させることで発毛を促進する効果が期待されています。ミノキシジルには、内服薬(飲み薬)と外用薬(塗り薬)があり、それぞれ作用の範囲が異なるため、副作用の傾向も異なります。
ミノキシジル内服薬の副作用
ミノキシジル内服薬は、その血管拡張作用が全身に及ぶため、比較的全身性の副作用が現れやすい傾向があります。日本ではAGA治療薬として承認されておらず、保険適用外の自由診療で処方される場合が多いですが、本来の適応症とは異なるため、医師の十分な管理のもとで使用する必要があります。
主な副作用としては、以下のようなものが挙げられます。
- 多毛症: 髪の毛だけでなく、顔、腕、脚などの体毛が濃くなる。これはミノキシジルの血管拡張作用が全身に及ぶことによるものです。
- 動悸・頻脈: 心臓の鼓動が速くなる、強く感じる。血管拡張に伴う心臓への負担増が原因と考えられます。
- むくみ: 顔や手足がむくむ。体内の水分バランスが変化することが原因の一つとされます。
- めまい: 立ちくらみやふらつきを感じる。血圧が変動することによる影響です。
- 胸痛: 心臓に関連する痛みが現れる可能性。
- 体重増加: 体液貯留によるむくみが原因の場合があります。
- 頭痛: 血行促進による影響などが考えられます。
特に、心臓や血管に既往歴がある方、高血圧や低血圧の方、腎臓や肝臓に疾患がある方などは、ミノキシジル内服薬の服用には十分な注意が必要です。服用前に必ず医師に既往歴や健康状態を詳しく伝え、リスクとメリットを十分に理解した上で治療を受けるべきです。
ミノキシジル外用薬の副作用
ミノキシジル外用薬は、頭皮に直接塗布するため、全身性の副作用は比較的少なく、局所的な副作用が主となります。日本ではAGA治療薬として承認されており、市販薬としても販売されています。
主な副作用としては、以下のようなものが挙げられます。
- 頭皮のかゆみ: 塗布した部位にかゆみを感じる。
- 頭皮のかぶれ: 赤み、湿疹、炎症などが見られる。これは、ミノキシジル成分そのものや、製剤に含まれるアルコールなどの添加物に対するアレルギー反応や刺激が原因となることがあります。
- フケ: 頭皮の乾燥や炎症によりフケが増える。
- 初期脱毛: 治療開始から数週間〜数ヶ月で、一時的に抜け毛が増える現象。これは、弱った毛が新しい強い毛に生え変わる過程で起こると考えられており、治療が効いているサインとも言えます。多くの場合は数ヶ月で落ち着きます。
- 頭痛
ミノキシジル外用薬は内服薬に比べて安全性が高いとされていますが、それでも体質によっては局所的なアレルギー反応を起こす可能性があります。使用中に頭皮の強いかゆみや炎症が続く場合は、使用を中止し医師や薬剤師に相談しましょう。
ミノキシジル外用薬は、高濃度のものほど効果が期待できる一方、頭皮への刺激や副作用のリスクも高まる傾向があります。自分の頭皮の状態や体質に合った濃度のものを選ぶことが大切です。
薬剤 | 主な作用 | 主な副作用(報告が多いもの) | まれな副作用(注意が必要なもの) | 特徴 |
---|---|---|---|---|
フィナステリド | DHT生成抑制(抜け毛抑制) | 性欲減退、ED、射精障害 | 肝機能障害、女性化乳房、抑うつ症状 | 男性ホルモンに作用。比較的穏やか。女性の接触注意。 |
デュタステリド | より広範囲のDHT生成抑制(抜け毛抑制) | 性欲減退、ED、射精障害(やや高頻度) | 肝機能障害、女性化乳房、抑うつ症状 | より強力なDHT抑制。半減期が長い。女性の接触はより厳重な注意が必要。 |
ミノキシジル内服 | 全身の血行促進、毛母細胞活性化(発毛促進) | 多毛症、動悸、むくみ、めまい | 胸痛、体重増加、心臓への負担リスク | 日本未承認。全身性の副作用リスクあり。心血管系疾患のある方は特に注意。 |
ミノキシジル外用 | 頭皮の血行促進、毛母細胞活性化(発毛促進) | 頭皮のかゆみ、かぶれ、初期脱毛 | まれに全身性の症状 | 日本承認済。局所的な副作用が主。市販薬もあり。 |
副作用の発生確率と注意すべき症状
AGA治療薬の副作用は、全ての使用者に起こるわけではありません。その発生確率は比較的低く、多くの場合は軽度で済むとされています。しかし、中には注意が必要な症状や、まれではあっても重篤化する可能性のある副作用も存在します。ここでは、副作用の発生確率について触れつつ、特に注意すべき症状について解説します。
比較的多く見られる副作用
「比較的多く」といっても、その頻度は数%未満であることがほとんどです。しかし、使用者にとっては無視できない症状となり得ます。
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性機能障害(性欲減退、ED、射精障害):
- フィナステリドやデュタステリドで最も報告が多い副作用ですが、その発生率は数%未満とされています。例えば、ある臨床試験では、フィナステリド1mg群での性欲減退の発生率は1.8%、勃起機能不全は1.3%、射精障害は1.2%といった報告があります。デュタステリドはこれよりやや高い傾向が見られることもありますが、大きな差はありません。
- 多くの場合、服用を続けるうちに改善したり、中止することで回復したりします。ただし、まれに中止後も症状が持続するケース(Post-Finasteride Syndrome: PFSなどが議論されることもありますが、医学的な原因は確立されていません)も報告されており、不安な場合は医師と十分に話し合う必要があります。
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初期脱毛(ミノキシジル外用薬):
- ミノキシジル外用薬の使用を開始した多くの人(使用者の数割程度)に起こりうる現象です。
- 治療開始から2週間〜2ヶ月頃に起こることが多く、一時的に抜け毛が増えたように感じます。
- これは、弱った毛が新しい健康な毛に押し出されて抜ける生理的な過程と考えられており、通常は2ヶ月〜半年程度で落ち着き、その後発毛効果が現れてくることが多いです。
- 初期脱毛が起こることは、薬剤が効果を発現し始めているサインとも言えます。しかし、不安に感じたり、脱毛があまりにも長く続く場合は医師に相談しましょう。
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頭皮のかゆみ・かぶれ(ミノキシジル外用薬):
- ミノキシジル外用薬の使用者の数%に見られる局所的な副作用です。
- 塗布部位に赤み、かゆみ、乾燥、フケなどが現れます。
- これは、薬剤成分や溶剤(アルコールなど)に対する刺激やアレルギー反応が原因となることがあります。
- 軽度であれば保湿などで様子を見ることもありますが、症状が強い場合や悪化する場合は使用を中止し、医療機関を受診する必要があります。異なる濃度のミノキシジル製剤や、他の溶剤を用いた製剤に変更することで改善することもあります。
まれに起こる重篤な副作用
発生頻度は非常に低いですが、放置すると健康に重大な影響を及ぼす可能性のある副作用です。これらの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
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肝機能障害(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル内服):
- これらの薬剤の服用により、まれに肝臓の機能を示す数値(AST, ALTなど)が悪化する可能性があります。
- 自覚症状としては、全身倦怠感、食欲不振、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、吐き気などがありますが、初期には自覚症状がないこともあります。
- 定期的な血液検査で肝機能の状態を確認することが推奨される場合があります。特に、もともと肝臓に持病がある方や、飲酒量が多い方は注意が必要です。
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女性化乳房(フィナステリド、デュタステリド):
- 男性の乳房組織が肥大する副作用で、痛みやしこりを伴うこともあります。発生頻度は低いですが、これらの薬剤が男性ホルモンに作用することと関連があると考えられています。
- 症状が現れた場合は医師に相談し、必要に応じて治療薬の変更や中止を検討します。
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抑うつ症状(フィナステリド、デュタステリド):
- ごくまれに、気分の落ち込みや意欲低下といった抑うつ症状が報告されています。精神的な要因も大きいと考えられますが、薬剤との関連も指摘されています。
- 特に、もともと精神疾患の既往がある方や、強いストレスを抱えている方は注意が必要です。症状が続く場合は精神科医などへの相談も検討します。
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心血管系の症状(ミノキシジル内服):
- ミノキシジル内服薬は、本来が降圧剤であるため、心臓や血管に影響を与える可能性があります。
- まれに、胸痛、息切れ、呼吸困難、急激な体重増加やむくみといった心不全を示唆する症状が現れることがあります。
- これらの症状は重篤な状態につながる可能性があるため、絶対に見過ごさず、すぐに医療機関を受診してください。心臓や血管に持病がある方、高齢者、腎機能障害のある方は、ミノキシジル内服薬の適応について非常に慎重な判断が必要です。
副作用の発生確率の目安(一般的な傾向)
副作用の種類 | フィナステリド | デュタステリド | ミノキシジル内服 | ミノキシジル外用 |
---|---|---|---|---|
性機能障害(性欲減退、ED等) | 数%未満 | 数%未満(やや高) | – | – |
肝機能障害 | まれ | まれ | まれ | ごくまれ |
女性化乳房 | まれ | まれ | – | – |
抑うつ症状 | まれ | まれ | – | – |
初期脱毛 | – | – | ごくまれ | 数割 |
頭皮のかゆみ・かぶれ | – | – | – | 数% |
多毛症 | – | – | 数% | ごくまれ(顔など) |
動悸・むくみなど(全身性) | – | – | 数% | ごくまれ |
※上記の確率はあくまで一般的な臨床試験や市販後調査に基づく目安であり、個人の体質、年齢、健康状態、用量などによって変動します。また、報告されていない軽微な症状や、薬剤との関連が不明確な症状は含まれていません。
副作用が出た場合の適切な対処法
AGA治療薬を使用していて、「もしかして副作用かな?」と感じる症状が現れた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。最も重要なことは、自己判断で対応せず、必ず医師に相談することです。
自己判断せず医師へ相談
AGA治療薬は医薬品であり、その使用には専門的な知識が必要です。副作用が疑われる症状が現れた場合、以下のような自己判断は避けましょう。
- 自己判断での服薬中止: 症状が副作用によるものかどうかの判断は難しく、自己判断で服薬を中止すると、脱毛が再び進行してしまう可能性があります。また、薬剤によっては急な中止が望ましくない場合もあります。
- 自己判断での減量や増量: 医師の指示なく用量を変更することは、効果が不十分になったり、かえって副作用リスクを高めたりする可能性があります。
- インターネット上の情報や知人の経験談のみを参考にする: 副作用の現れ方は人それぞれであり、インターネット上の情報や他人の経験があなたの状況にそのまま当てはまるとは限りません。正確な診断と適切なアドバイスは医師から得るべきです。
- 他の薬剤やサプリメントとの併用を自己判断で行う: 副作用を抑える目的で、他の薬剤やサプリメントを併用することを自己判断で行うと、予期せぬ相互作用により健康被害が生じる可能性があります。
副作用が疑われる場合は、まずは処方を受けたクリニックや病院に連絡し、症状について相談しましょう。オンライン診療を受けている場合でも、多くのクリニックが相談窓口を設けています。
副作用が疑われる場合の対応
具体的にどのような症状が出たら医師に相談すべきか、また相談時に何を伝えるべきかを知っておくと、スムーズに適切な対応ができます。
相談すべき症状の例
- 性機能に関する変化: 性欲が明らかに低下した、勃起しにくくなった、射精量が減ったなど、以前との違いを感じる場合。
- 体の変化: 乳房が膨らんだ、乳頭が敏感になった、顔や手足がむくむ、全身がだるい、皮膚や白目が黄色いなどの変化。
- 精神的な変化: 気分が落ち込む、何事にも興味が持てない、不安が強いなどの精神的な不調が続く場合。
- 心臓や血管に関する症状: 動悸がする、息切れがひどい、胸が痛むなどの症状。特にミノキシジル内服薬を服用している場合。
- 頭皮の強い症状(ミノキシジル外用薬): 頭皮の強いかゆみ、赤み、ジュクジュクするなどの炎症が続く、または悪化する場合。
- その他、気になる症状: 上記以外でも、「服用(使用)を始めてからどうも体調がおかしい」「いつもと違う」と感じる症状があれば、どんなに些細なことでも相談してみましょう。
医師に相談する際に伝えるべきこと
医師は、あなたの症状が本当に薬剤の副作用によるものなのか、他の原因によるものなのかを診断し、適切な対応を判断します。そのために、以下の情報を正確に伝えることが重要です。
- 服用(使用)しているAGA治療薬の名前と用量: 複数の薬剤を服用している場合は全て伝えます。ジェネリック医薬品の場合は成分名も伝えられると良いでしょう。
- 治療開始からどのくらい経過しているか: 服用(使用)期間を伝えます。
- いつから、どのような症状が現れているか: 症状が始まった時期、具体的な症状の内容、症状の程度(例: 日常生活に支障があるか、安静時にも症状があるかなど)、症状の変化(良くなっているか、悪化しているか)などを詳しく伝えます。
- 症状が現れる直前や現れている期間に、何か特別な出来事や体調の変化があったか: ストレス、睡眠不足、風邪、他の病気にかかったなど。
- 現在服用している他の薬剤やサプリメント、市販薬: 全て正確に伝えます。お薬手帳などを持参すると便利です。
- 持病やアレルギー、過去にかかった大きな病気: 既往歴を正確に伝えます。
- 家族にAGA治療薬の副作用が出たことがあるか: もし知っている範囲で情報があれば伝えます。
これらの情報をもとに、医師は副作用の可能性を評価し、必要に応じて検査(血液検査など)を行ったり、薬剤の変更、減量、中止といった指示を出したりします。副作用が現れても、必ずしも治療を断念する必要はありません。薬剤の種類を変えたり、用量を調整したりすることで、副作用を抑えつつ治療を継続できる場合もあります。信頼できる医師と密に連携を取りながら、最適な治療法を見つけていくことが大切です。
副作用リスクを減らすためのポイント
AGA治療の副作用リスクをゼロにすることは難しいですが、その可能性を低減させたり、万が一発生した場合でも早期に対応できるように、事前にいくつかの対策を講じることができます。
治療前の医師との相談
AGA治療を開始する前に、医師と十分に相談することは、副作用リスクを減らす上で最も重要なステップの一つです。
- 自身の健康状態を正直に伝える: 現在の健康状態、既往歴(過去にかかった大きな病気)、アレルギーの有無、家族の病歴(特に心臓病、肝臓病、精神疾患など)を医師に正確に伝えましょう。これにより、医師はあなたにとってAGA治療薬が適しているか、どのようなリスクがあるかを適切に判断できます。
- 服用中の全ての薬剤やサプリメントを申告する: 処方薬だけでなく、市販薬、健康食品、サプリメントなど、現在服用しているものは全て医師に伝えましょう。薬剤によってはAGA治療薬との飲み合わせが悪く、相互作用によって副作用が強く現れたり、治療薬の効果が弱まったりする可能性があります。
- 生活習慣について話す: 喫煙、飲酒の習慣、食生活、睡眠時間、運動習慣なども、治療効果や副作用に影響を与える可能性があります。可能な範囲で正直に伝え、医師からアドバイスを受けましょう。
- 副作用に関する疑問や不安を解消する: 副作用について不安に感じていること、具体的な症状についてなど、遠慮なく医師に質問しましょう。医師は副作用の種類、発生確率、もし出た場合の対処法などを詳しく説明してくれるはずです。疑問点を解消することで、安心して治療を開始できます。
- 期待できる効果とリスクについて説明を受ける: 医師から治療によって期待できる効果の程度や、考えられるリスクについて説明を受け、それらを十分に理解した上で治療を受けるかどうかを決定しましょう。インフォームドコンセント(説明と同意)は非常に重要です。
信頼できる医師は、あなたの健康状態を総合的に評価し、AGAの進行度やタイプ、ライフスタイルなどを考慮して、あなたに最も適した治療薬や治療計画を提案してくれます。また、治療を開始した後も、定期的な診察や検査を通じて、効果や副作用の有無をモニタリングし、必要に応じて治療計画を調整してくれます。
持病や服用中の薬の申告
前述の医師との相談内容と重複しますが、特に持病や服用中の薬の申告は、副作用予防のために極めて重要なため、改めて強調します。
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持病:
- 心臓や血管の病気: 高血圧、低血圧、不整脈、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの既往がある場合、ミノキシジル内服薬はもちろん、他のAGA治療薬の服用も慎重な判断が必要です。性行為自体が心臓に負担をかけるため、性機能障害に関する副作用を持つフィナステリドやデュタステリドの服用も、心臓の状態によってはリスクとなり得ます。
- 肝臓や腎臓の病気: 薬剤は体内で代謝・排泄されるため、肝臓や腎臓の機能が低下している場合、薬剤が体内に蓄積しやすくなり、副作用のリスクが高まる可能性があります。フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル内服薬はいずれも肝臓に負担をかける可能性があり、ミノキシジルは腎臓への影響も考えられます。
- 精神疾患: うつ病やその他の精神疾患の既往がある場合、フィナステリドやデュタステリドによる抑うつ症状のリスクについて医師と十分に話し合う必要があります。
- その他: 糖尿病、甲状腺疾患など、全身に影響を及ぼす可能性のある持病も、薬剤の代謝や効果に影響を与える可能性があるため申告が必要です。
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服用中の薬:
- 狭心症の薬(硝酸剤など): 硝酸剤とED治療薬(フィナステリドやデュタステリドが性機能障害の副作用を持つことを踏まえると、医師に相談すべきケースがあります)の併用は、急激な血圧低下を引き起こし、非常に危険です。
- 血圧を下げる薬(降圧剤): ミノキシジル内服薬との併用は、血圧を下げすぎることがあります。
- 抗真菌薬、一部の抗生物質、HIV治療薬など: これらの薬剤は、AGA治療薬の体内での分解を遅らせ、血中濃度を上昇させて副作用リスクを高める可能性があります。
- セントジョーンズワートなどのハーブ製品: 特定の薬剤の代謝に影響を与える可能性があり、相互作用を引き起こすことがあります。
正直な申告は、あなた自身の安全のために不可欠です。些細だと思える情報でも、必ず医師に伝えるようにしましょう。これにより、医師は適切な薬剤の選択、用量の調整、または治療そのものの適否を判断し、副作用のリスクを最小限に抑えることができます。
また、治療開始後に新たに他の医療機関で薬を処方される場合や、市販薬やサプリメントの使用を始める場合も、必ずAGA治療を受けている医師に相談するようにしましょう。
まとめ:AGA治療の副作用を理解し、安心して治療を受けるために
AGA治療は、進行性の脱毛症に対して有効な改善策を提供してくれます。フィナステリドやデュタステリドによる抜け毛抑制、ミノキシジルによる発毛促進は、多くの人がその効果を実感しています。しかし、どの医薬品にも副作用のリスクは伴います。AGA治療薬も例外ではなく、性機能障害、肝機能障害、多毛症など、薬剤の種類に応じた副作用の可能性が存在します。
副作用と聞くと不安になるかもしれませんが、重要なのは以下の点です。
- 副作用の発生確率は比較的低い: 多くの副作用は、全ての使用者に見られるわけではなく、発生頻度は数%未満であることがほとんどです。
- 多くは軽度で対処可能: 発生した副作用も、多くは一時的であったり、軽度であったりします。
- 適切な知識と対応でリスクは管理できる: 副作用の種類や注意すべき症状、そして何より「副作用が疑われたらすぐに医師に相談する」という正しい知識を持っていれば、リスクを最小限に抑え、万が一の場合でも適切に対処できます。
安心してAGA治療を受けるためには、
- 治療を開始する前に、必ず専門の医師の診察を受けること。
- 自身の健康状態、既往歴、服用中の全ての薬剤を正直に申告すること。
- 副作用について医師から十分な説明を受け、疑問や不安を解消すること。
- 治療開始後、気になる症状が現れた場合は、自己判断せず速やかに医師に相談すること。
これらのポイントを守ることが極めて重要です。医師はあなたの状態を正確に診断し、最適な治療法を提案してくれます。副作用が出た場合でも、薬剤の変更や用量調整など、状況に応じた対応を一緒に考えてくれます。AGA治療は長期にわたることが多いため、信頼できる医師を見つけ、二人三脚で治療を進めていくことが、効果を実感しつつ、副作用リスクとも適切に向き合うための最善の方法と言えるでしょう。
副作用を過度に恐れることなく、正しい知識を持って医師と連携し、納得のいくAGA治療を進めていきましょう。
免責事項
本記事はAGA治療薬の副作用に関する一般的な情報を提供するものであり、特定の治療法や薬剤を推奨するものではありません。個々の症状や体質、健康状態によっては、記載されている情報が当てはまらない場合があります。AGA治療を検討される際は、必ず医師の診察を受け、個別の状況に基づいた専門的なアドバイスを受けてください。副作用が疑われる場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診してください。
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